硝子体注射について

 硝子体注射は、網膜の病気に効果的な治療法です。大病院を中心にこの治療法が広まり、現在では最新医療を取り入れている眼科専門クリニックでも行われるようになってきています。硝子体注射が実施されるまでは、網膜の病気に対してレーザー治療や硝子体手術といった治療しかありませんでした。ところが、レーザー治療や硝子体手術はお体への負担が大きいだけでなく、効果が出るまでに時間がかなりかかりました。硝子体注射は、早ければ治療翌日には効果を実感でき、注射するだけですのでお身体への負担も大幅に軽減されます。 硝子体注射は、網膜の下に異常な血管(脈絡膜新生血管)が生えてきて出血や網膜のむくみを起こす加齢黄斑変性の治療としてスタートしました。当初は、大腸がんに対して点滴注射で用いられていたアバスチン®という薬剤を使用していましたが、研究が進んで眼専用に作られた次世代の薬剤を使うようになっています。硝子体注射に使用する薬剤は、異常な血管を消失させる効果がある抗VEGF物質で、ルセンティス®、マクジェン®、アイリーア®があります。 現在では、加齢黄斑変性だけでなく、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、近視性脈絡膜新生血管症などの網膜の病気にも硝子体注射の効果が現れることがわかってきており、硝子体注射で治療可能な患者さまが増えてきています。

目的別治療

1、糖尿病黄斑浮腫

●網膜にある血管の瘤(コブ)から血液成分が漏れ、それによって網膜がむくんでいます。硝子体注射を行うことで血液成分の漏れを抑制し、むくみを改善します。
 
2、加齢黄斑変性、近視性脈絡膜新生血管症
●網膜の下には脈絡膜があり、こうした病気では脈絡膜から網膜に向かって、通常ではないはずの脈絡膜新生血管が伸びていきます。硝子体注射を行うことで、新生血管を縮小させ、血液成分が漏れるのを抑制します。
 
3、網膜(静脈分枝・中心静脈)閉塞症、糖尿病網膜症
●網膜の血管が詰まるとその範囲に酸素不足が起こり、血流を回復させようと新生血管の増殖・成長が起こります。これには血管内皮増殖因子(VEGF)が関わっているとされています。VEGFは網膜の浮腫や新生血管を生じさせ、硝子体出血や血管新生緑内障を引き起こします。硝子体注射を行うことです、網膜のむくみを改善し、他の合併症の発生も抑えます。網膜(静脈分枝・中心静脈)閉塞症、糖尿病網膜症の治療では、硝子体注射と並行して網膜レーザー治療の必要があるケースも多くなっています。

 

 

なるべく早めの処置をお勧めいたします

 目に注射をするということで、抵抗感を持つ方もおられますが、注射するのは白目の部分ですし、極細の針を使用するため穴もすぐふさがりますので、ご安心ください。
雑菌が目に入らないようにするための消毒など準備に少し時間はかかりますが、治療自体はあっという間に終わります。
 網膜の病気を抱えておられる多くの患者さまが硝子体注射により改善、もしくは悪化抑制効果が見込めます。手術より気軽に受けられますし、即効性もあるため、現在では急激に全世界で広まり始めている治療法です。
 もちろん、硝子体注射治療にもデメリットはあります。効果は1~2ヶ月程度しか持続しませんし、薬価が比較的高いことは問題点だと言えます。また数千人に一人という頻度でごくまれにしか起こりませんが、注射した部分から細菌が目の中に入って感染する危険性もあります。